
1.実験2について
実験1のチップインダクタ,チップコンデンサに引き続き、実験2ではチップ抵抗の
特性を調べてみましょう。チップ抵抗だけからなる回路を組み、その周波数特性を測定
します。抵抗だけで構成される回路。。。回路教室X.4.(1)の固定アッテネータ
を実際に組んでみます。基板は実験1の基板を流用し、マイクロストリップラインの中
央付近にアッテネータ回路を挿入しました。図2−1に固定アッテネータの回路を示し
ます。π型とT型両方の回路を組み、その特性を比較してみました(3dB,6dB,
10dB,20dB)。1005のチップ抵抗で実験を行いました。
また、様々な回路で終端抵抗としてよく使われる51Ωについて、その終端時のVS
WR特性の測定も行いました。
図2−1 アッテネータ回路
○ 測定器 : HP8753D (Full 2-Port Calibration)
○ 評価使用部品 : KOA製 RK73K1Eシリーズ
○ 評価回路の定数
2.固定アッテネータの特性
試作したアッテネータの Attenuation 特性を図2−2 〜 図2−5に示します。
50Ωラインを含めての測定値から、ラインだけの時の挿入損失を引いてアッテネータの
Attenuation を算出しました。また、π型とT型のVSWR特性の比較を図2−6に
示します。
先ず、VSWR特性から、π型とT型の優劣がはっきり見て取れます。伝送線路に対
して直列に挿入される部品の少ないπ型の方が、明らかに良い特性を示しています。周
波数が高くなるに従って Attenuation が減少していますので、チップ抵抗の寄生成分
は、抵抗成分と並列の寄生容量と考えられます。また Attenuation 特性から、抵抗の
値が小さいほどその寄生成分は小さいと考えられます。
測定結果から、1005チップ抵抗で作った固定アッテネータ(π型)の使用上限周波数
は、3dB:>6GHz,6dB:約5GHz,10dB:約3GHz,20dB:約1GHzと考えられます。

図2−2 3dB 固定アッテネータの特性

図2−3 6dB 固定アッテネータの特性

図2−4 10dB 固定アッテネータの特性

図2−5 20dB 固定アッテネータの特性

図2−6 固定アッテネータのVSWR特性
3.51Ωチップ抵抗の終端特性
測定は図2−7に示すように、SMAのレセプタクルの中心導体をカットし、51Ω
のチップ抵抗を実装して行いました。図2−8に測定値を示します。この結果から、3
GHz位までなら問題ないと考えます(VSWR<1.2)。
図2−7 終端特性測定方法 図2−8 51Ωチップ抵抗の終端特性(VSWR)
4.最後に
取り扱うパワーが小さい場合には、1005サイズのチップ抵抗で組んだアッテネー
タでも耐電力の問題はありませんが、ハイパワーを扱う回路では耐電力を上げる為に抵
抗のサイズを大きくしなければなりません。抵抗のサイズが大きくなると寄生成分も大
きくなり、周波数特性が悪化すると考えられます。(他のサイズのチップ抵抗が入手で
きたら追加実験行ってみたいと思います)