検波回路(携帯電話の光グッズ)


 1.実験5について

   部品を整理していたら、かなり前(5年以上前)に入手したショットキーバリアダイ
  オードが出てきました。捨てるのも勿体無いし、何か作ってみようと。。。

   携帯の送信信号を利用した様々な「光るグッズ」が出回り、とうとう「光るつけ爪」
  まで登場しました。そこで、実際にどの程度の入力電力があればLEDを点灯させるこ
  とが出来るのか、簡単な検波回路を作って実験してみました。
  
   ◇ ダイオードの型番は?です。
     メーカーはたしか・・・日立,用途はミキサー用だったと思います。
 

 2.検波回路

   LEDは順方向の電圧降下が2V前後もあるので、これを光らせる為には、2V近い
  検波出力電圧を確保しなければなりません。そこで、検波回路の構成は下図(a)に示
  す様な Voltage Multiplier タイプにしました。(b)に示すダイオードを1個使った
  検波回路の2倍の検波出力電圧が得られます。

            

                   図1 検波回路


   図2に今回試作した検波/発光回路の回路図を示します。LEDは低電流でもある程
  度の光度が得られるもの。。。今回は手元にあったSML−211UTという面実装タ
  イプのLEDを使用しました(ローム製)。このLEDの概略特性を表1に示します。

         

                  図2 検波/発光回路


                表1 SML−211UT 諸特性

           


 3.調整

   Matchingは、先ず最初にR=200Ωに設定して940MHzで整合を取りました。
  Rを200Ωから100Ωに変えても、Matchingには殆ど影響ありませんでした。ネッ
  トワークアナライザの信号レベル:0dBmでMatching調整を行いました。(調整が進
  むにつれて、ネットワークアナライザのスイープにしたがって、LEDが点滅しました)


 4.特性測定

   LEDの電流制限抵抗を100Ω,200Ωに設定して測定を行いました。−5dBm
  入力で微かにLEDが光り始めました。

          

               図3 出力電圧 vs 入力電力

          

               図4 出力電流 vs 入力電力

          

               図5 変換効率 vs 入力電力


    変換効率 : η=(出力電流×出力電圧)/入力電力×100[%]

  これはRでの消費電力も含んでいますので、入力電力の内、LEDで消費される電力の
  割合をを計算すると、   

          

            図6 LEDで消費される入力電力の割合

  
  図4,6から、電流と消費電力が等しいので、LEDの明るさはRの値の影響をあまり
  受けないと考えられます(Rをあまり極端な値にしなければ)。実際に今回の実験では、
  入力レベルが同じなら、Rの値を変えてもLEDの明るさに差は感じられませんでした。


 5.皆さんも作ってみては

   完成した回路にANTとして、長さ5cm程度の線材を付け、携帯(DoCoMo N207)
  に近づけてみると、LEDがちゃ〜んと光りました。 (^_^)
   検波用ダイオード,LED,抵抗、マッチング回路用部品、それに1×2cm程度の基
  板の切れ端、ANT用の線材等があれば簡単に出来ます。マッチング調整も、SGから
  数dBm程度の信号を入力して、LEDの明るさや検波出力電圧を見ながらカット&ト
  ライを行えば、ネットワークアナライザが無くても、そこそこ調整できると思います。

  ☆ ダイオードの向きを全て逆(LEDも)にすれば正電圧出力でLEDを点灯できます。