MGA-87563を使ったLNA


 1.実験6について

   試作品の測定評価に2GHz〜3GHzのLNAが必要になったので、手元にあった
  アジレント・テクノロジー製のMMICで作ってみました。使用したMMICの特長等
  を以下に示します。

   ◇ MGA−87563 (0.5−4GHz 3V低電流 GaAs MMIC LNA)
 
   ◇ 特長

     ・ 雑音指数 : 1.6dB(標準)@2.4GHz
     ・ 利得   : 12.5dB(標準)@2.4GHz
     ・ 3V単一電源(4.5mA標準)
     ・ 超小型プラスチック・パッケージ

   データシートは、アジレント・テクノロジーのサイトで入手できます。
   データシートには、MGA−87563の応用が詳しく載っています。
  
     目標性能 : Gain > 10dB,NF < 2dB,VSWR < 2


 2.シミュレーション
 
   データシートに載っていたSパラメータ,ノイズパラメータを使って、シミュレータ
  で設計した回路と、シミュレーション結果を示します。


       

              図1 シミュレーション設計回路


   出力側の51Ωと10nHの直列回路は、低域での安定性の向上の為に挿入していま
  す(データシートに詳しく説明されています)。この回路を挿入しないと、低域で安定
  係数Kが1以下になってしまいます。


         

                    図2 VSWR


         

                    図3 Gain


         

                    図4 NF


 3.試作・測定

   1.5cm×2cmのテフロン基板に概略パターンを鉛筆で下書きし、カッターナイフで下書
  きに沿って切り込みを入れ、不要部分の銅箔を剥がして、パターンを作成しました。

   図1の回路に電源ライン部を追加したのもが試作回路です。受動部品(R,L,C)
  は全て1005タイプを使用しました。測定を行ったところ、無調整で所望の性能が得
  られており、シミュレーションの特性とほほ同じ傾向(周波数特性)を示しました。調
  整を行ってみましたが、この回路構成では、設計値が一番良い特性でした。以下に回路
  図と測定結果、それに外観を示します。

   ★ NFの測定にはフィルター等を作成しなければならないので、測定が出来たら
    測定結果を追加いたします。他の特性がシミュレーションとほぼ一致しているの
    で、シミュレーション結果に近い値が得られると思います。  


       

                   図5 試作回路


          

                  図6 入力VSWR


          

                  図7 出力VSWR


          

                  図8 Gain
 

                

             図9 外観(ハッキリと見えませんが)


 4.皆さんも作ってみては

   部品があれば、基板作成〜組み立てまで1時間ほどで出来ると思います。1608サイズ
  の受動部品を使っても、1.5cm×2cm程度の基板に十分収まるでしょう。

   MGA−87563は、入出力の整合がある程度確保されており、バイアス回路も内
  蔵しているので、外付け部品が少なく、使い易いと思います。