CNCの自作とCNCで作る工作


木で作る1911年式T型フォード製作記
(この項、2013年7月5日追記)
 木で自動車を作ってみたくなり、同じ作るなら約100年前に大量生産の礎を築いたT型フォードをと
Webで画像やイラストを集め、シナベニヤを主材に1/10サイズの製作を始めました。        
先ずは、シャシーから製作を始めることにしました。主な部品はシナベニヤをCNCフライスで切り抜き
加工しましたが、木で作る関係で細かい部材が実際の縮尺よりも大きくなるのが難点です。     
また、金属類の使用を出来るだけ少なくしましたが、ねじ類、アルミ板や真鍮なども使っています。 
参考資料      
1911年式 T型フォード諸元 (Webで調べられた範囲です)
全長3300mm全幅1687mm
ホイールベース2515mmトレッド1422mm
タイヤ外形762mmエンジン直列4気筒サイドバルブ、排気量2896cc

T型フォードについてのおはなし

 T型フォードは1908年に発売され1927年の生産終了までに基本的な部分をモデルチェンジすることなく、
1500万台以上も生産された名車です。
 T型フォードについての説明はウィキペディアに詳しく記されているのでご参照ください。

画像をクリックすると大きな画像が見れます。

正面からの画像

 T型フォードのフロントサスペンションは横置きリーフスプリング(板ばね)を使ったリジッドアクスルです。
 私は若いころ自動車の整備士をしてましたが、国産車のアクスルは縦置きのリーフスプリングが殆どで欧州車の横置タイプを見た事が有る程度でした。
 スピンドルヨークの形状も国産車とアクスル側とスピンドル側が逆だったりして興味があります。また、アクスル前後左右のずれを抑える為にエンジン下部の一点とフロント・アクスル左右のシャックル下部をラジアスロットで繋ぐトラス構造になってます。

 サスペンションのスプリングを当初は木で作るつもりでしたが、折角作るのだから出来るだけリアルにと掃除機のコード巻き取り用ゼンマイを板ばねとして使いました。
後ろからの画像

 リアサスペンションも横置きのリーフスプリングのリジッドアクスルですが、デファレンシャルのギャーボックスが当たらないように上側に湾曲した特異な構造でした。
 トランスミッションとデフを繋ぐプロペラシャフトは、インナータイプで鋼管チューブの中に入っていてミッション側の根元とリア・アクスルのブレーキドラム(パーキングブレーキ)背面側を鋼管パイプ(ラジアスロット)で繋ぎアクスル前後左右のずれを防ぐトラス構造になってます。
 尚、T型フォードの主ブレーキはトランスミッションの中にあり、外部収縮式のバンドブレーキです。また、トランスミッションは遊星歯車式で前進2段と後進1段で切り替えは、遊星歯車のリングギアをバンドブレーキで止める構造になっています。
右前方からの画像

 T型フォードのシャシーはエンジンやトランスミッション、ドライブシャフトと連帯構造になっていて、エンジンやトランスミッションが無いと前後アクスルの固定が出来ません。
 そんな理由で、エンジン本体とトランスミッションを一体としてタイワンフウ(台湾楓)の一木から彫刻し、エキゾーストパイプやインレットパイプ等を取り付けました。
左前方からの画像

 初期のT型フォードにはセルモーターやダイナモが装備されていませんでしたが、シリーズの途中から装備され、ヘッドライトなどのランプ類が電球式となりました。
右側から見たエンジン部分の画像

 ラジエータを取り付けるとエンジン部分が見難くなるので、これらの画像を先に撮りました。
私達が知ってるエンジンはインレットマニホールド(吸気管)とキャブレーターが上側から、エキゾーストマニホールド(排気管)が下側ですがT型フォードでは上下が逆ですね。多分、これには事情が有った事だと思います。
 冷却ファンはクランク軸のプーリと平ベルト(当時Vベルトが発明されてなかったようです)で繋ぎます。模型ではスターティングハンドルを回すとファンが回るようにする予定です。
左側から見たエンジン部分の画像

 この当時のエンジンにはウォータポンプが未だ付いていません。このため、エンジンとラジエータを自然循環させるためにラジエータが大きくて連結の管も太いのが特徴です。エンジン内の冷却水の温度が上がると対流により、シリンダーヘッド上部からラジエータへ、冷やされた冷却水がラジエータ下部からエンジンへ戻り循環します。 このため、シリンダーヘッドの形状がラジエータへ戻りやすいように前部に向かって勾配を付けるなど苦労の跡が窺えます。
 先人たちの努力が有って現在の車へと進化発展していったのだと、模型の製作を通じて知ることが出来、とても勉強になりました。
ほぼ形が出来上がって来た!1 (この項、2013年7月22日追記)

 エンジンカバーやヘッドライトなどの細かな装備が未だですが、少しずつ形が出来上がって来たので中間報告として画像を掲載します。

外観をFord-1911 Model-T Torpedo-Roadsterとしました。
ほぼ形が出来上がって来た!2 (この項、2013年7月22日追記)

 この後磨きを掛け、木目が見える程度にオイルステインで淡く彩色し、亜麻仁油で仕上げる予定です。

暑さが厳しくて午前中だけの作業なので完成まで後しばらく掛かります。

1911年式 Ford Model-T Torpedo-Roadsterがやっと完成しました。

(この項、2013年7月27日追記)
製作開始から約2カ月、やっと完成しました!

塗装はシャシー関係とホイールのみ少し濃いめのオイルステインで色付けし、その他はすべて亜麻仁油で仕上げました。
ダッシュボード両側のサイドランプと後ろのテールランプは石油ランプです。
当時、方向指示器はなく手信号だったようですね。
クラクションは手動式のエアーホーンです。

エンジンカバーを開けるとエンジンが見えます。
ヘッドライトは電気式ではなく、カーバイドを使ったアセチレンガス式です。
ステップの上に据え付けた縦型の筒がアセチレン発生装置でゴムホースでヘッドライトに繋がれてます。
ガソリンタンクはむき出しの円筒タンクです。
スペアタイヤはオプションだったようです。
車体裏側の様子です。

当たり前ですが、運転席のハンドルを操作するとちゃんと動きますよ!

サイドブレーキも運転席のレバーを操作するとリンクが動きます。
タイヤはどのように加工したのかと質問が有りました。
(2013年7月30日追記)

タイヤは共芯のシナベニヤをCNCを使いホイール部分とタイヤ部分に分けて加工し、後で張り合わせて作りました。ホイール加工中の画像です。
タイヤの丸みはCNCで簡易3D加工し、サンダーで仕上げています。

動画もご覧下さい。(2013年7月28日追加)

愛車のステアリング系故障の修理記録。(2016年11月21日追加)

何かのショックでフロントアクスルのスピンドルボスに付属のナックルアームが
破断したので修理。
赤い円の中が破断したナックルアームの根元部分です。
分解して取り出した破断したスピンドルボスとナックルアーム。
新しくヒノキの板を削りナックルアームを作りました。
スピンドルボスをアクスルのヨークに組み込み修理が完了。
修理箇所が判るように未塗装の状態です。
元通りに修理が出来た愛車T型フォード。


編集後記
何時もと同様に何の役にも立たない作品ですが、昔の車を知り自動車の進化が勉強出来ました。
暑い時期の工作でしたが完成すると嬉しいものです。アクリルケースに入れて部屋のインテリアにしたいと思います。


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