高周波回路教室 スミスチャート

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 1.はじめに

   まずはじめに、この教室ではUHF帯以上を高周波と呼ぶことにします。
    ( 周波数では300MHz以上、自由空間の波長では約1m以下 )

   高周波と言うと、何か特別な領域と思われる方がいるかもしれませんが、実は一般に
  取り扱うことが多い低周波交流回路の方が特殊なのです。なぜか?交流信号は周波数の
  逆数に比例する波長を持っています。低周波の場合、例えば1MHzの信号の自由空間で
  の波長は約300mあります。FR-4基板上(厚さ1mm)でもその波長は約 164mもあります。
  いくら基板が大きいと言っても数十cm程度ですから、1MHzの信号を扱う回路を設計す
  る場合に、その波長を全く意識すること無く、無視して設計しているのです。つまり近
  似を行っているのです。
   それでは扱う信号の周波数が1GHzになったらどうなるでしょう。自由空間での波長
  は1MHzの 1/1000の 30cmに、FR-4基板上ではわずか 16.4cmになってしまいます。つ
  まり扱う信号の波長に対して基板上のパターン長が無視できなくなります。ただのライ
  ンでも、ライン上の位置が数cm違っただけで、信号の位相と振幅が全く異なります。
    
   高周波の場合、低周波のようにオシロスコープを使って簡単に電圧波形を観察するこ
  とが出来ません。従って電流・電圧で高周波回路特性を測定することはほとんど不可能
  な為、電流と電圧の積である電力で回路特性の測定を行います。使用する単位はWでは
  なくdBm( 0dBm=1mW)を主に使用します。
    
   高周波回路では、電力をいかに効率よく伝達するかが重要になります。電力を効率よ
  く伝達する為には、インピーダンス整合を行う必要があります。高周波回路でインピー
  ダンスと言うと、特性インピーダンスのことを指します。  
  (インピーダンス整合,特性インピーダンスについては電気回路の文献を御覧下さい)


 2.スミスチャート