トップへ 目次 1.PINダイオード 2.スイッチ (1)基本回路 先ず最初に、伝送線路に SeriesにPINダイオードを挿入した回路がどんな特性を 示すのか見てみましょう。図5−3に略図と順方向,逆方向の各バイアス時の等価回路 を示します。等価回路は、前項で示したものに、伝送線路とPINダイオードの接続部 (リード,ボンディングワイヤー)のインダクタンス分を加えてあります。図5−3 PINダイオード Series 挿入 Rf=1Ω,Rr=1Ω,Cj=0.5pF,L=0.5nH,PINダイオードの前後に それぞれ2GHzにおいて90°の電気長を持つ50Ωラインがあるものとしてシミュ レーションした結果を、図5−4(順バイアス時)と図5−5(逆バイアス時)に示し ます。
図5−4 <Series> 順方向バイアス時のS11,S21特性
図5−5 <Series> 逆方向バイアス時のS11,S21特性 図5−4から、順バイアス時にはダイオードがほぼショートの状態になり、信号が伝達 されることがわかります。一方、図5−5から、逆バイアス時にはダイオードがオープ ンに近い状態になり、信号が伝達されにくくなっていることがわかります。従って、順 バイアスと逆バイアスのそれぞれの状態をスイッチのONとOFFに対応させられるの ではないか、そう思いませんか。 それでは次に伝送線路とGNDの間に、ShuntにPINダイオードを入れたらどうな るか調べてみましょう。図5−6に略図を示します。またシミュレーション結果を、図 5−7と図5−8に示します。シミュレーションの条件は先程と一緒です。
図5−6 PINダイオード Shunt 挿入
図5−7 <Shunt> 順方向バイアス時のS11,S21特性
図5−8 <Shunt> 逆方向バイアス時のS11,S21特性 図5−6から、順バイアス時にはダイオードがショートに近い状態になり、信号が伝達 されにくくなっていることがわかります。一方、図5−7から、逆バイアス時にはダイ オードがほぼオープン状態になり、信号が伝達されていることがわかります。従って、 順バイアスと逆バイアスのそれぞれの状態をスイッチのOFFとONに対応させられる と考えられます。SeriesとShuntでは、順バイアスと逆バイアスの働きが逆になってい ます。 Series,Shuntのどちらも、ONの特性はまあまあですが、OFFの特性(アイソレ ーション)が十分ではありません。改善が必要です。。。 (2)特性改善