トップへ 目次 1.はじめに 2.利得 アンプを設計する時に先ず行わなければならないのは、半導体の選定です。データシ ートから、必要な利得が得られるかどうか判断しなければなりません。新製品の設計で は余裕を持った半導体の使い方はまず出来ません。半導体の性能をフルに引き出すこと が必要になります。半導体選定の手助けとなる、利得に関する幾つかの定義を以下に示 します。 (1)トランスデューサ電力利得(Transducer Power Gain):GT図6−2 2−PORTネットワーク
(2)最大有能利得(Maximum Available Gain):MAG or Ga(max) 式(6.1)のGTにおいて、能動素子の入出力インピーダンスを同時に整合させる と、最大有能利得(MAG)になります。 しかしここで注意しなければならないことがあります。入出力インピーダンスの 整合を行った時に発振してしまう場合があります。”アンプ”は規定された温度範 囲,電源電圧範囲,負荷条件下等で安定に(発振せずに)動作しなけばなりません。 そこで先ず、使用する周波数帯での能動素子の安定性を判別する必要があります。 その判別には安定係数(K)と呼ばれるものを用います。式(6.2),(6.3)に能 動素子のSパラメータを代入し、不等号を満足すれば絶対安定となります。絶対安 定であれば、入出力にどのような負荷(反射係数1未満)が接続されても発振を起 しません。
安定条件を満足する場合には、最大有能利得(MAG)が定義できます。上式のK を用いてMAGは下式で表されます。
(3)最大安定利得(Maximum Stable Gain):MSG さて、安定係数の計算を行い、K<1なってしまった場合にはMAGは定義でき ません。その場合には利得の目安として最大安定利得(MSG)が用いられます。 最大安定利得は整合回路に損失を持たせて、K=1となるようにした時の利得です。
実際、様々な能動素子の安定係数を計算してみると、K<1になってしまうものが ほとんどです。 3.NF