高周波回路教室 アンプ

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 目次
 1.はじめに
 2.利得

 3.NF

   アンプは、信号入力側にあるローノイズアンプ(LNA)と、信号出力側にあるパワ
  ーアンプ(PA)に大きく分けることが出来ます。LNAで重要な特性はNF(Noise
  Figure:雑音指数)です。皆さんの家にあるBS,CSアンテナの小型化には、アンテ
  ナに付いているコンバータのNFの改善が大きく貢献しています。アンプのNFが小さ
  いと → アンプで発生するノイズが少ない → 非常に小さいレベルの入力信号をノ
  イズに埋もれさせることなく増幅することが出来る → 入力信号レベルを小さくする
  ことが出来る → アンテナを小さくすることが出来る、ということです。

   実際にアンプから出ているノイズを見てみましょうか。アンプ(手元にある適当なも
  の)とスペアナ,終端器、それにアンプ用の電源も忘れずに。アンプの入力を終端し、
  出力をスペアナの入力に接続してください。スペアナの中心周波数をアンプのそれに合
  わせてください。アンプにバイアスを供給しない状態では、アンプを接続してもスペア
  ナに表示されたノイズフロアーに変化はないでしょう。バイアスを供給すると。。。。
  スペアナに表示されたノイズフロアーのレベルが上昇するはずです。入力は終端されて
  いるので、この上昇分がアンプから発生したノイズです。入力信号レベルが小さいと、
  このノイズに信号が埋もれてしまいます。

   ノイズの細かい説明は省略し、ここではNFの計算に絞って説明します。図6−3の
  N段アンプのNFは式(6.6)で表されます。G1,G2,G3,・・,GN は各段のGain
  で、F1,F2,F3,・・,FN は各段のNFです。一般にNFは式(6.7)のように、
  [dB]で表されます。
  
  
       

                 図6−3 N段アンプ



      


  [例1]2段アンプのNF計算

    1段目 : Gain=9dB ,NF=2dB
    2段目 : Gain=10dB,NF=3dB

     NF1 = 2dB → F1 = 1.585
     NF2 = 3dB → F2 = 1.995

     G1 = 9dB = 7.943
     G2 = 10dB = 10

        F = 1.585+(1.995−1)/7.943 = 1.71
       NF = 10 log(1.71)= 2.33dB 
   

   一般に受信機のRF入力部には、BPFなどが挿入されています。フィルターのよう
  に損失を有するものが挿入された場合に、NFはどうなるのでしょうか。次の例で見て
  みましょう。
  

  [例2]1段のアンプの前にアッテネータが挿入された場合

    アッテネータ : Loss=1dB
    アンプ    : Gain=10dB,NF=2dB

     NF1 = 1dB → F1 = 1.259
     NF2 = 2dB → F2 = 1.585

     G1 = −1dB = 0.794
     G2 = 10dB = 10

        F = 1.259+(1.585−1)/0.794 = 1.995
       NF = 10 log(1.995)= 3dB 
          = Loss+NF(Amp) [式(6.6),(6.7)から導出できます]


   つまり、初段アンプの前の損失はそのままNFの悪化になります。受信回路において、
  アンテナ入力から初段アンプまでの損失は、出来る限り小さくしなければなりません。
  それでは、アンプの後に損失を有するものが挿入されたらどうなるでしょうか?


  [例3]1段のアンプの後にアッテネータが挿入された場合

    アンプ    : Gain=10dB,NF=2dB
    アッテネータ : Loss=1dB

     NF1 = 2dB → F1 = 1.585
     NF2 = 1dB → F2 = 1.259

     G1 = 10dB = 10
     G2 = −1dB = 0.794

        F = 1.585+(1.259−1)/10 = 1.611
       NF = 10 log(1.611)= 2.07dB


 4.非線形特性