高周波回路教室 ミキサ

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 目次
 1.ミキサはなぜ必要なのか

 2.信号を”混ぜる”とは?

   “混ぜる”という操作にも、大きく分けて2種類あります。ここで、混ぜ合わせる2
  つの信号をa(t),b(t)、それぞれの周波数をf1,f2(f1>f2)とします。判りやすくす
  るために、a(t),b(t)を次式で示す単一の正弦波とします。

          

 (1)加える(+)

   一つは、混ぜるという操作が、a(t)+b(t)で表せるものです。

        

  この場合には、混ぜ合わせても2つの信号に変化が無く、しかもお互いに影響しあうこ
  とがありません。したがって、a(t)とb(t)を“混ぜた”出力は、図2に示すようにa(t)
  とb(t)しかなく、2つの入力信号に関係する新しい成分を何も生み出されていません。
  電力合成器による2信号の合成がこれに相当します。2つの信号のから生み出され、両
  方の特徴を併せ持った信号成分がありませんので、これはミキサとして使用できません。


    

               図8−2 加える(+)


 (2)掛ける(×)

   もう一つは、混ぜるという操作が、a(t)×b(t)で表せるものです。 a(t)とb(t)をか
  け、三角関数の公式を使うと、

   

  掛け合わせることによって、a(t)とb(t)の和および差の周波数成分が生み出されていま
  す。つまり、掛け合わせることによって周波数変換がなされています。図3に入力2信
  号と、周波数変換によって生み出された和,差の成分との関係を示します。掛ける機能
  (動作)を有する回路によって、ミキサを構成できることがわかります。


    

               図8−3 掛ける(×)


   式の上では、2信号を掛け合わせることによって、和と差の成分が得られ、周波数変
  換されることが判りました。それでは、実際の回路で、掛け合わせる機能を持つ回路を
  どうやって実現するのか見て行きましょう。
   ミキサには、大きく分け2つのタイプがあります。一つは、ダイオード(受動素子)
  を用いたパッシブ・ミキサ(Passive Mixer)。そしてもう一つが、トランジスタ,FET
  などの能動素子を用いたアクティブ・ミキサ(Active Mixer)です。どちらも、それぞ
  れの半導体素子が持つ非線形特性を利用して周波数変換を行います。

  

 3.パッシブ・ミキサ