高周波回路教室 受動回路

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 目次
 1.オープンスタブ&ショートスタブ
 2.分配器・合成器 (1)2分配回路?

 2.分配器・合成器

 (2)Wilkinson couplers

   最も簡単な構成の Wilkinson coupler のシミュレーション回路と結果を図4−6
  に示します。特性インピーダンスが √2Zo の1/4波長伝送線路2本と、2Zoの抵
  抗1個で構成されています。
           
(a)シミュレーション回路
(b)S11(PORT1 入力インピーダンス)(c)S22(PORT2 入力インピーダンス)
(d)S21(LOSS : PORT1 → PORT2)(e)S32(ISOLATION : PORT2 → PORT3)
        図4−6 Wilkinson coupler


   どうですか?(1)項で示した例と比べると、全ての特性が格段に良くなっているの
  が一目瞭然ですね。もし基板上にスペースの余裕があるならば、1/4波長のラインを
  PORT1に付け足すことにより、更に特性を良くすることが出来ます。図4−7に回路と
  結果を示します。
           
(a)シミュレーション回路
(b)S11(PORT1 入力インピーダンス)(c)S22(PORT2 入力インピーダンス)
(d)S21(LOSS : PORT1 → PORT2)(e)S32(ISOLATION : PORT2 → PORT3)
        図4−7 Wilkinson coupler(compensated)

   
   さて、これらの Wilkinson coupler を実際に作成する場合に、一番問題になるの
  は分岐の部分です。上記のシミュレーションでは分岐の部分を無視していますので、理
  想的な特性が得られています。分岐の形状は、大きく分けると図4−8に示すような(a)
  T型と(b)Y型の2つに分けることが出来ます。分岐の影響を如何に少なくし、補償す
  るのか、ここが設計者の腕の見せ所です。カット・アンド・トライ、あるいはシミュレ
  ータを駆使して、自分だけの形状・配置の Wilkinson couplerを作り上げてください。
   
(a) T型分岐(b) Y型分岐
        図4−8 分岐の形状
 

   ここまで分配器(divider)として話を進めてきましたが、分配器を逆に使えば合成
  器(combiner)になります。つまり、PORT2,PORT3から入力すれば、PORT1から合成
  出力を得ることが出来ます。Wilkinson couplerは、単にcombiner,dividerとも呼
  ばれています。2分配器の出力に2分配器を次々とつないで行けば、4分配,8分配,
  16分配・・・を得ることが出来ます。
   それでは、分配比率を1:1(等分配)ではなく、任意の比率で分けるにはどうした
  らよいのか?図4−9に不等分配 Wilkinson coupler の構成を示します。TOOL
  boxに計算シートを載せます。

      不等分配器

        図4−9 不等分配器


 2.分配器・合成器 (3)もっと小さく簡単に出来ないの?