高周波回路教室 受動回路

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 目次
 1.オープンスタブ&ショートスタブ
 2.分配器・合成器 (1)2分配回路?
           (2)Wilkinson couplers

 2.分配器・合成器

 (3)もっと小さく簡単に出来ないの?

   前項で説明した Wilkinson couplerは、λ/4の線路の組み合わせで構成されてい
  る為に、低い周波数では形状が大きくなってしまうという欠点があります。また、前項
  では述べませんでしたが、λ/4(中心周波数で)の線路で構成される為に、中心周波
  数から離れるに従って特性が悪化します(帯域幅を有する)。
   一部特性を犠牲にしてもいいから、もっと小さくて簡単に作成できる物はないのか?
  分配損失とアイソレーションは悪化しますが、小さく簡単に出来る、抵抗分配器を紹介
  いたしましょう。図4−10に3抵抗2分配器の構成とシミュレーション結果を示しま
  す。
           
(a)シミュレーション回路
(b)S11(PORT1 入力インピーダンス)(c)S22(PORT2 入力インピーダンス)
(d)S21(LOSS : PORT1 → PORT2)(e)S32(ISOLATION : PORT2 → PORT3)
        図4−10 3抵抗2分配器


   全ての端子が対称になっていますので、どの端子を基準にしても、入力インピーダン
  ス,損失,アイソレーションの全ての特性は等しくなります。抵抗を使用している為に、
  損失が約6dBになっています。入力電力の内の半分は抵抗で熱に変わってしまいます。
  また、アイソレーションも約6dBに低下しており、使用に際しては注意が必要です。
  このような欠点はありますが、手軽さと小ささ、そしてDCから使える広帯域な分配特
  性は重宝するとおもいます。
   図の抵抗値は、16.67Ωと非常に半端な値になっていますが、実際に作成する場合に
  は16Ωや18Ωの抵抗を使用しても特性が大きく変わることはありません。16Ωの抵抗で
  作成すると、損失とアイソレーションの値が約5.9dBになります。また、18Ωの抵抗で
  作成すると、約6.2dBになります。(シミュレーションでは)
   抵抗分配器には3抵抗の物の他に、2抵抗の物もあります。また、Willinsonや抵抗
  分配器のほかにも様々な分配器がありますので、「ほん」で紹介している”高周波回路
  設計ノウハウ”等の書籍を参考にして下さい。