高周波回路教室 コントロール回路

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 目次
 1.PINダイオード
 2.スイッチ

 3.移相器

 (1)移相とは?

   「位相」という言葉はよく目にしますが、「移相」という言葉は普段あまり使うこと
  も無いし、目にする機会もあまり無いと思います。移相とは、位相を移すことを意味し
  ます。それでは、位相を移すとは?位相を電気的あるいは機械的な方法で変える、変化
  させることを意味します。どんな所で位相のコントロールが必要なのでしょうか。。。
  フェーズドアレイ・アンテナのビームの制御や位相変調など、色々なところで使われま
  す。
   位相を変える具体的な方法を見てみましょう。一番簡単なのは、信号が通過する伝送
  線路の物理的な長さを変える方法です。物理的な長さが変わればそこを通過した後の信
  号の位相が変わります。図5−21に図で示します。


           

              図5−21 位相を変える


  ・機械的に長さを変える方法を図5−22に示します。図に示すような金属製同軸パイ
   プの組合せた伝送線路を伸び縮みさせれば、位相を自由に変えることが出来ます。

   長所 : 連続して位相を変えることが出来る,低損失
   短所 : 機械的である為、位相を変えるのに時間がかかる,形状が大きい

  (手動式のもの,モーターを使った電動式のものが市販されています)


           

              図5−22 機械式移相器


  ・電気的に長さを変える方法を図5−23に示します。長さの異なる複数の伝送線路を
   用意し、スイッチで切り替えれば位相を変えることが出来ます。(線路切り替え方式)

   長所 : 小型化が可能,位相切り替え時間が非常に短い
   短所 : 位相の連続変化は出来ない(ディジタル),機械式に比べて損失が大きい


         

             図5−23 線路切り替え方式移相器


  図5−24に線路切り替え方式の4ビット移相器構成を示します。0°〜337.5°まで、
  22.5°ステップで位相を変化させることが出来ます。注意しなければならないのは、
  ここで言う移相とはその移相器の挿入位相(基準状態の時の入出力間の位相差)に対し
  ての変化量であるということです。移相量が0°の時にその移相器の挿入位相が0°と
  いうことではありません。挿入位相と移相量の関係を図5−25に示します。(位相遅
  れの方向を移相量が大きくなる方向とした場合)


    

              図5−24 4ビット移相器構成例


      

              図5−25 挿入位相と移相量


  それでは、電気的に位相を変える様々な移相器を見て行きましょう。
  
(2)反射によって位相を変える?