高周波回路教室 アンプ

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 目次
 1.はじめに
 2.利得
 3.NF

 4.非線形特性

   入力レベルが小さい領域(小信号領域)では、アンプの出力レベルは入力の増加にし
  たがって傾き1で上昇して行きます(リニア)。入力レベルと出力レベルの比が電力利
  得Gです。さて、入力レベルを更に大きくして行くと非線形(ノンリニア)特性を示す
  ようになり、リニア領域での利得から想定される出力レベルよりも実際の出力レベルが
  小さくなってきます。出力レベルが想定値よりも小さくなる(利得が低下する)だけな
  ら問題無いのですが、この非線形動作の影響は増幅した信号の歪みとなって現れてきま
  す。
  
 ◇ P1dB ◇

   リニア領域の利得よりも利得が1dB低下するポイントの出力レベルを、P1dB,1dB
  compression point と呼びます。P1dBを越えると、利得が急速に低下し、出力レベル
  は飽和に達します。
  
 ◇ Intermodulation(IM) ◇

   アンプの非線形動作の測定には幾つかの方法があります。最も簡単に測定できるのが、
  上で述べたP1dB です。次によく行われるのが、数MHz離れた2信号(帯域内の)を
  入力する方法です。
   周波数f1,f2の2つの信号をアンプに入力すると、その出力にはこの2信号の他に、
  相互変調によって生じる、周波数 mf1+nf2 の信号が現れます。m+nを相互変調
  (intermodulation:IM)の次数と呼びます。図6−4に、相互変調によって生じる
  スペクトラムの概要を図示します。  
  
      

                  図6−4 相互変調


   図6−5に、アンプの入出力特性の例を示します(利得10dB)。

    

                   図6−5 入出力特性


 ◇ IP3 ◇

   入力レベルが大きくなり、出力の歪みが大きくなってくると、相互変調成分の中でも
  特に3次の項が支配的になってきます。そこで相互変調歪みはしばしば、図6−5に示
  した 3rd Order Intercept Point(IP3)によって表されます。IP3はP1dB よ
  りも 10 〜 12dB大きな値になります。
   

 5.ダイナミックレンジ