高周波回路教室 受動回路2

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 目次
 1.90°Hybrid(Branch-Line Coupler)
 2.Rat-Race(Magic Tee)

 3.λ/4変成器(transformer)

   名前の通り、λ/4の長さを持った回路です。変成器というと何か特別なパターン
  を想像しますが、実際はある特性インピーダンスのただの伝送線路です。特性インピ
  ーダンスの異なる伝送線路を接続する時、マッチング回路を設計する時(インピーダ
  ンス変換)に、よく使われます。図7−13に回路構成(パターン)を示します。


          

                図7−13 λ/4変成器


   黄色で示した部分がλ/4変成器です。中心周波数でλ/4の長さを持っています。
  異なった特性インピーダンス(Z1,Z2)の伝送線路を、変成器を介して接続する例
  を示しています。変成器部分の特性インピーダンスZtと、Z1,Z2との関係は次式
  で示されます。

           


   この式を満足するようなZtを持った、λ/4のラインを挿入するだけで何が変わ
  るのか?図7−14に示す回路でその効果を調べてみます。この回路の入力VSWR
  特性を図7−17に赤色(BASE)で示します。


             

               図7−14 変成器挿入前の回路


   次に、図7−15に示すように、抵抗と伝送線路の間にλ/4変成器を挿入してみ
  ます。式(7.3)のZ1,Z2にそれぞれ 200Ω,50Ωを代入してZtを求めると、100Ω
  になります。この回路の入力VSWR特性を図7−17に緑色(TR1)で示します。
  ます。


          

               図7−15 1段変成器挿入後の回路


   変成器の挿入により、中心周波数でマッチングがとれました。しかし、中心周波数
  から離れるに従って、VSWRは急速に悪化しています。この例では、200Ω→100Ω
  →50Ωと、急激なインピーダンス変化をしています。それでは、λ/4変成器を多段
  接続して、インピーダンス変化を少なくしたらどうなるか調べてみましょう。図7−
  16に示すように、図7−15の回路に変成器を2個追加してみます。計算すると、
  Zt1=70.7Ω,Zt2=141.4Ωになります。入力VSWR特性を図7−17に黄土色
  (TR3)で示します。多段にし、インピーダンス変化を小さくすることにより、帯域が
  広くなっています。


    

               図7−16 多段変成器挿入後の回路


  

                図7−17 入力VSWR特性


   接合部でのインピーダンス変化が小さいと、接合部での反射係数が小さくなる為、
  多段変成器ではトータルの反射係数が改善されます。このことから、図7−18のよ
  うに、滑らかにテーパー状に特性インピーダンスの変化する変成器を用いれば、さら
  に改善できることが容易に予想できます。


          

               図7−18 テーパー状の変成器


 4.バイアス回路 (1)集中定数で構成