高周波回路教室 受動回路2

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 目次
 1.90°Hybrid(Branch-Line Coupler)
 2.Rat-Race(Magic Tee)
 3.λ/4変成器(transformer)

 4.バイアス回路

 (1)集中定数で構成

   直流バイアス供給を必要とする回路には、そのバイアスを供給する為の回路が必要
  になります。バイアス回路に要求されるのは、高周波特性に影響を及ぼすこと無く、
  バイアスを供給することです。伝送線路に直流バイアスを印加する回路と、伝送線路
  からGNDへと直流電流を流す回路について、この項と次項で詳しく見てみます。
   この項では、集中定数(チップ部品)で構成したバイアス回路の特性を調べてみま
  す。

  ◇ バイアス回路1 : 伝送線路とGND間に抵抗

   図7−19に示すように、伝送線路とGND間に抵抗を接続した回路の影響を調べ
  てみます。抵抗値を 100Ω,1kΩ,10kΩと変えてシミュレーションした結果を、図
  7−20に示します。チップ抵抗は、抵抗性分と直列に 0.6nHのインダクタンス成分
  を持っているとして(回路実験室の測定結果から)、シミュレーションを行いました。
  この結果から、抵抗値が数kΩ以上あれば、伝送線路に直接抵抗を接続しても影響が
  少ないと考えられます。

  
                図7−19 バイアス回路1


      

                図7−20 バイアス回路1の影響


 ◇ バイアス回路2

   次に図7−21に示すように、抵抗を介して伝送線路にバイアスを印加する回路の
  影響を調べてみます。シミュレーション結果を、図7−22に示します。チップコン
  デンサは、直列に 1nHのインダクタンス成分を持っているとして(回路実験室の測定
  結果から)、シミュレーションを行いました。こちらも、抵抗値が数kΩ以上あれば、
  伝送線路に直接抵抗を接続しても影響が少ないと考えられます。

  
                図7−21 バイアス回路2


      

                図7−22 バイアス回路2の影響


 ◇ バイアス回路3

   図7−23に示すように、伝送線路とGND間にインダクタを接続した回路の影響
  を調べてみます。インダクタの値を 10nH,22nH,47nH,100nHと変えてシミュレー
  ションした結果を図7−24に示します。チップインダクタは、並列にキャパシタン
  ス成分を持っているとして、シミュレーションを行いました。某メーカーのデータシ
  ートに記載されている自己共振周波数から、キャパシタンス成分の値を決めました。
  使用周波数帯域の中心付近に、自己共振周波数を持つインダクタが良いと考えられま
  す(自己共振周波数でインピーダンスが最大になるので)。

  
                図7−23 バイアス回路3


      

                図7−24 バイアス回路3の影響


 ◇ バイアス回路4

   図7−25に示すように、インダクタを介して伝送線路にバイアスを印加する回路
  の影響を調べてみます。シミュレーション結果を図7−26に示します。チップコン
  デンサは、直列に 1nHのインダクタンス成分を持っているとして、シミュレーション
  を行いました。こちらも、使用周波数帯域の中心付近に、自己共振周波数を持つイン
  ダクタが良いと考えられます。

  

                図7−25 バイアス回路4


      

                図7−26 バイアス回路4の影響


 4.バイアス回路 (2)分布定数で構成