高周波回路教室 マッチング回路

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 目次
 1.こんな間違い見かけた事ありませんか
 2.スミスチャートを使ってのマッチング
 3.素子値の算出

 4.マッチング回路構成をどうやって決める?

   ここまでマッチング回路の構成を2素子に絞って説明してきましたが、たった2素子
  でもいろいろな組み合わせがあることを判って頂けたと思います。実際には、半端な値
  のインダクタやコンデンサはありませんから、要求されるマッチングの度合いによって
  2素子,3素子,4素子・・・と、必要となる素子数も変わってきます。

   ここで言う回路構成とは、直列にL or Cを挿入するか,並列にL or Cを挿入する
  かというこです。
   例えば、ある回路の入力において、マッチングを取りたい周波数よりも高い側に除去
  したい信号があったとします。この場合、マッチング回路の構成は、直列Lと並列Cの
  組み合せにするのが良いと考えます。なぜ直列Lと並列Cなのか・・・・・そうです、
  これはLPFと同じ回路構成ですね。マッチング回路によって、周波数の高い側の不要
  な周波数成分をある程度除去できるでしょう。
   このように、回路に要求される周波数特性等によって、回路構成を決めることもあり
  ます。

   2.項で、5種類の2素子マッチング回路の説明を行いましたが、その説明で使用し
  た図2−2〜図2−6を見て、何か気づくことはありませんか。
   マッチングを取ろうとした1GHzのポイントは、確かにセンターに持ってくること
  が出来ました。しかしその前後の周波数のインピーダンスは、マッチング回路の構成に
  よって全く別な値になってしまっています。更に注意して見ると、マッチングを取ると
  きに、スミスチャート上での1素子あたりの移動距離が長い物ほど、曲線が広がってし
  まっていませんか。言い換えると、マッチング回路の各素子毎に大きなインピーダンス
  変化(スミスチャート上での移動)をさせるほど、曲線が広がっている。
   曲線が広がっているということは、スミスチャートの中心付近の狭い周波数範囲でし
  かマッチングが取れていない事になります。
   このように、回路構成によってマッチングの帯域幅は変わりますので、要求される帯
  域幅によってもマッチング回路の構成は変わります。

   実際のマッチング回路は、上で説明したマッチングの度合い,周波数特性,帯域幅等
  の要求特性だけでなく、マッチング回路用の基板上のスペース,部材コスト,実現可能
  な素子値等によってもその構成が左右されます。

   インピーダンスマッチングは奥が深いので、様々な回路のマッチング調整を行って、
  経験を積むことも必要と考えます。実際のマッチング調整は、ネットワークアナライザ
  を使って行うことでしょう。そこで、マッチング回路の説明の最後に、ネットワークア
  ナライザを使ってマッチング調整を行う上での注意点を示します。


 5.これは大切、基準面!!