トップへ 目次 1.オープンスタブ&ショートスタブ 2.分配器・合成器 3.方向性結合器 (1)結合線路 (2)方向性 (1)で見たシミュレーション結果から、結合線路の結合出力の信号(電力)の流れ には方向性が有るらしいということを何となく解って頂けたと思います。ここでは、そ の方向性が生じる原理を見てみましょう。話の流れから行けば、マイクロストリップラ インの結合線路でその原理を説明すべきだとは思いますが、難しくなってしまうので、 理解し易い導波管の方向性結合器で方向性の説明をいたします。 図4−15に導波管の2孔形方向性結合器断面図を示します。2つの方形導波管を平 行に並べ(E面を共通にして,E面:電界に平行な面)、1/4波長離れた位置に2つ の孔(同じ大きさ)をあけて作られています。図4−15 導波管の2孔形方向性結合器 話を簡単にする為に、導波管間の結合は弱いものとして説明します。PORT1を入力と すると、PORT1に入力された波のほとんどはPORT2からそのまま出て行きます。この時、 入力の一部は導波管にあけられた2つの孔を通して、隣の導波管へと漏れ出します。ま ず、PORT4方向へと進む波は、孔1を通った波(@)と孔2を通った波(A)の通過経 路の長さが等しくなります。従って、位相が等しくなりますので加算されて、PORT4か ら出て行きます。一方、PORT3方向へと進む波は、孔1を通った波(B)と孔2を通っ た波(C)の通過経路の長さが1/2波長違います。従って、BとCは逆相になります ので、打ち消し合ってしまい、PORT3には出力が全く現れません。図4−16に@〜C の位相関係を示します。 同様にして、PORT2に信号を入力した時には、PORT3には出力が現れますが、PORT4に は何も現れません。
図4−16 位相関係 前項で見たマイクロストリップラインの平行線路を使った方向性結合器の場合には、 平行ライン部分全体で結合していますので、上記の導波管のように波の重ね合わせで簡 単に説明できません。Passive回路Aで(かなり先になるかのしれませんが)説明でき れば、と考えています。今すぐにでも知りたいという方の為に、参考文献を以下に示し ます。 ☆ 「詳解 例題演習 マイクロ波回路」 倉石源三郎 著 東京電機大学出版局刊 ”側結合方向性結合器”の項を参照してください。 3.方向性結合器 (3)特性を表す量