高周波回路教室 受動回路

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 目次
 1.オープンスタブ&ショートスタブ
 2.分配器・合成器
 3.方向性結合器  (1)結合線路
           (2)方向性 

 (3)特性を表わす量

   方向性結合器がどんなものなのかチョットわかったところで、方向性結合器の特性,
  性能を表わす量の定義を見てみましょう。方向性結合器を表す4PORT回路を図4−17
  に示します。前項で説明した導波管方向性結合器に対応し、PORT1に入力された電力は、
  PORT2と4に伝達されるが、PORT3にはほとんど伝達されないものとします。

         方向性結合器

                図4−17 方向性結合器


   方向性結合器の特性(性能)を表す量としては、下記a〜dがあります。

   
    a.挿入損失 ( Insertion Loss ) : PORT1からPORT2への伝達

       L=10log(P2/P1) [dB]         (4.5)

    b.結合度 ( Coupling ) : PORT1からPORT4への伝達

       C=10log(P4/P1) [dB]         (4.6)

    c.アイソレーション ( Isolation ) : PORT1とPORT3との間

       I=10log(P3/P1) [dB]         (4.7)

    d.方向性 ( Directivity ) : PORT3とPORT4との間

       D=10log(P3/P4) [dB]         (4.8)

       D=I−C                     (4.9)

   
   ここでチョット問題です。今あなたは方向性結合器を購入しようと思ってカタログを
  見ているとします。カタログの中に”SALE!!”と書いてある非常に安いものを見
  つけました。カタログには、C=−20dB,I=−20dBとだけ書いてあります。
  さあ、あなたはどうします? 買いますか? それとも別なものを探しますか?

   別なものを探すと答えた方、それはどうしてですか?そうです、あなたがいま探して
  いるのは方向性結合器です。カタログに書いてあったC,Iの値を上式(4.9)に入
  れて計算すると、方向性D=0dBになってしまいます。これでは方向性結合器とはい
  えません。もしこの例で、C=−20dB,D=−20dBであれば、その方向性結合
  器は非常に優れたものといえるでしょう。なんと、アイソレーションが−40dBもあ
  りますから(I=D+C=−40dB)。

   これでもう、方向性結合器(略して”方結(ホウケツ)”)の善し悪しを判断できますね。

 3.方向性結合器 (4)RF帯の方結を作りたい