高周波回路教室 コントロール回路

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 目次
 1.PINダイオード
 2.スイッチ (1)基本回路
        (2)特性改善

 (3)SPDTスイッチ

   SPDT(Single Pole Double Throw)スイッチを簡単に図示すると図5−13の
  様になります。さて、PINダイオードを使ってこれと同じ機能を実現するにはどうし
  たら良いでしょうか?


           SPDTスイッチ

              図5−13 SPDTスイッチ


   1個のダイオードで構成できるのはSPSTスイッチです。そこでまず図のSPDT
  スイッチをSPSTスイッチに分解してみましょう。図5−14に示します。


  SPDTスイッチ  SPDTスイッチ

              図5−14 SPDTスイッチ(SPSTスイッチに分解)


   先ず最初に、SW1,SW2を Series のダイオードで置き換えた場合の特性を見て
  みましょう。シミュレーション回路を図5−15に示します。シミュレーション条件は
  前項までと一緒です。シミュレーション結果を図5−16に示します。


        

           図5−15 シミュレーション回路 (Series PIN Diode)


  

            図5−16 SPDTスイッチの特性 (Series PIN Diode)


  満足できる特性ではありませんが、SPDTスイッチとして機能していることが判りま
  した。それではダイオードを Shuntに挿入したらどうなるでしょうか。そうです、ただ
  単に2個のダイオードを挿入しただけでは全く役に立ちません。これではSPSTスイ
  ッチになってしまいます。それではどうすれば良いのか・・・
   図5−17に Shunt に挿入する場合の回路を示します。Series の場合との違いは、
  分岐点とダイオードの接続点との間に1/4波長のライン(50Ω)が挿入されている点
  です。それではこの1/4波長のラインの働きは?D1がOFFでD2がONの場合に
  ついて考えてみましょう。


      
               

              図5−17 SPDTスイッチ(Shunt PIN Diode)


   D2がONになっていますので、D2の接続点はGNDとほぼショートとされている
  と考えることが出来ます。従って、そこから1/4波長離れた分岐点AからPORT2
  側を見ると、あたかも何もつながっていないオープン状態であるかのように見えます。
  よって、PORT1から入力された信号はPORT2へと伝達され、PORT3には伝
  達されません。
  (?という方は、頭の中にサイン波を思い浮かべて下さい。振幅が0の点から1/4波
  長離れた点の振幅はどうなりますか?そうです、最大になりますね。分岐点では電圧振
  幅は最大になり、電流の振幅は0になります。つまりオープン状態になります。)
   D1:ON,D2:OFFの場合のシミュレーション結果を図5−18に示します。


  

            図5−18 SPDTスイッチの特性 (Shunt PIN Diode)


  こちらも満足できる特性ではありませんが、SPDTスイッチとしては機能しています。
  以上が、SPDTスイッチの基本回路です。SPSTスイッチと同様に、特性改善を次
  項でチョット考えてみましょう。


(4)SPDT特性改善