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目次
1.オープンスタブ&ショートスタブ
2.分配器・合成器
3.方向性結合器 (1)結合線路
(2)方向性
(3)特性を表す量
(4)RF帯の方結を作りたい
今での説明の中で出てきた方向性結合器は、マイクロストリップラインや導波管を用
いたものでした。RF帯(数百MHz)で作るには形状が大きくなりすぎてしまいます。
RF帯で使える小さな方向性結合器は出来ないのか?何故形状が大きくなってしまうの
か?マイクロストリップライン,導波管の方向性結合器は、分布定数回路で構成してい
るために、周波数が低くなると周波数に反比例して形状が大きくなってしまいます。そ
れならば、集中定数回路で作ればいいのではないか?
それでは、集中定数で構成した方向性結合器を見てみましょう。回路図を図4−18
に示します。回路図中、LとCで構成されたT型回路が1/4波長伝送線路の等価回路
になっています。Cc( Coupling cpacitance ) は、導波管の方向性結合器の孔の働
きをします。
図4−18 集中定数回路 方向性結合器
回路定数は以下の式4.10〜4.12で算出されます。この方向性結合器にはいく
つか制限がありますので、注意してください。
L=Zo/(2πf) (4.10)
C=1/(2πfZo) (4.11)
Cc=10^(CF/20)/(2πfZo) (4.12)
f : 中心周波数(Hz)
Zo: 特性インピーダンス(Ω)
Cc: Coupling Capacitance(F),Cc<0.18/(2πfZo)
CF: 結合度(Coupling Factor)(dB),CF<−15dB
この式を使い、400MHzで結合度−20dBの方向性結合器を設計してみましょ
う。特性インピーダンスは50Ωとします。(小数点以下四捨五入)
L=20nH ,C=8pF ,Cc=0.8pF
この回路のシミュレーション結果を図4−19に示します。
図4−19 集中定数方向性結合器 (400MHz , -20dB)
400MHzの特性を見てみると、結合度は設計どおり−20dBになっています。
アイソレーションは約−40dBとれていますから、方向性は−20dBになります。
集中定数の方向性結合器であれば、電卓と部品があれば簡単に出来ますので、作って
見てはいかがですか。