microwave(高周波)

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「技術者の声」の第6回目は小暮裕明さんにお話を伺いました。

 *-*- 1952年生まれ,エンジニアリング会社で電力プラントシステムの設計・開発  に従事.その後,ビジネス系のシステム開発,オープンシステムの設計・開発など  を手がける.1988年に技術士国家試験に合格・登録.1992年に独立開業.  -*-*

 2008年7月に小暮裕明さん著『電気が面白いほどわかる本』が発売されました。

 その他にも電磁界関係の本などを多数執筆され、年間に数十回のセミナーの講師を務められている小暮さんですが…

-- 以前から、文章を書くことや、人前で話すことが得意だったのですか。

 実は、小・中学生の頃は作文が一番苦手でした。本を読むことは好きでしたが、文章を書くのは苦手で、夏休みの宿題で最後まで残っていたのが作文だったぐらいです。特に読書感想文が一番苦手でした。そんな自分が、本を書く人間になるなんて夢にも思っていませんでしたね。まして、セミナーで人前に出て話すなんて以前ではとても考えられません。大学の卒業発表だって、ほとんど上手く話せなかったのに。どちらかと言えば、1人で物を作っている方が好きなタイプでした。

 今のように話せるようになったのは、最初に入った会社の存在が大きかったと思います。その会社では入社2年目になると、全員が強制的に工場長の前で30分間のスピーチをしなければいけなかったからです。会社の先輩が、忙しい中なんとか時間を作って練習に付き合ってくれました。SE(システムエンジニア)が人前で話す機会というのはほとんどないので、その練習がとても良い勉強になったと思います。

-- もともとはマイクロ波が専門だったのですか。

 大学時代はマイクロ波をやっていました。しかし、就職時期とオイルショック(1970年代後半)が重なってしまって、その頃はまさに就職難でした。私もすぐには就職できないだろうと半ば諦めていた時に、先生から連絡があって、1社だけみつかったのがエンジニアリング会社のSEの仕事でした。それからはずっとSEとして長い間仕事をしてきました。私自身、16年前に独立した時は「SEの教育」で一生を終わると思っていましたけど、またマイクロ波に携わるようになったのは電磁界シミュレータのソネットがきっかけです。

-- 16年前に独立されたきっかけは。

 バブル崩壊期に独立すると言ったら、まわりにアホかと言われました。どうしてこの時期なんだと。そう考えると、就職活動の時がオイルショック、独立開業の時がバブル崩壊期で、どちらも良いタイミングではないですね。

 実は、私が企業でSEとして働いていた頃、プログラマーの「30歳定年説」というのがありました。プログラマーという仕事は年をとると精神力、体力が続かないという意味での定年(寿命?)だろうと思います。確かにあたってはいますね。30代半ば過ぎになると少しずつ精神的にも体力的にも無理がきかなくなるんですよ。徹夜が2日ぐらい続くと意識がもうろうとしてきて、ソフトもバグだらけになってしまう。そういうことは会社もよく分かっているので、だいたいそのぐらいの年齢になると管理職にされてしまう。そのことは、私自身にも例外ではなかったわけです。
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